このチェックが見ているもの、見ていないもの
ドライアイ研究会による2016年版の診断基準では、次の2つを満たす場合にドライアイと確定診断されます。
- 自覚症状がある眼不快感、または視機能異常があること
- BUTが5秒以下フルオレセイン染色による涙液層破壊時間。目の表面を覆う涙の膜が、何秒でくずれ始めるか
出典: ドライアイの定義と診断基準(2016年版)・ドライアイ研究会
このページのチェックが扱えるのは、1つめの「自覚症状」の側だけです。 2つめのBUTは、目に染色液を入れて顕微鏡で涙の膜を観察する検査で、自宅では測れません。
だから、このチェックの結果がどうであれ「ドライアイである」とも「ない」とも言えません。 言えるのは「診断基準がいう自覚症状に当てはまるかどうか」までです。 そのうえで、当てはまるなら眼科でもう一方を診てもらう価値がある——それがこのページの役割です。
正式な問診票を載せていない理由
ドライアイには DEQS(ドライアイ研究会・参天製薬)や OSDI といった、 きちんと検証された問診票があります。ただしこれらは利用にあたって許諾が必要なもので、 このサイトが勝手に複製して載せてよいものではありません。
そのためこのチェックの設問は、診断基準が挙げる自覚症状の枠組み(眼不快感・視機能異常)に沿って、 こちらで書いたものです。検証されたスコアやカットオフ値は存在しません。 「何点以上ならドライアイ」といった判定ができないのは、そのためです。
2016年の改訂で、何が変わったか
2006年版の診断基準では、涙液異常・角結膜上皮障害・自覚症状の3つを満たしてはじめてドライアイと確定していました。 2016年版では、角結膜上皮障害が条件から外れています。
理由は、目の表面に傷がなくても、涙の膜が不安定なだけで強い症状が出る人たちがいると分かってきたためです。 検査で「傷はありませんね」と言われたのに症状は続いている、という経験に心当たりがあるなら、 それは古い基準では拾われなかった状態だったのかもしれません。
いまの基準の中心にあるのは涙の膜がどれだけもつかです。 パソコン作業でまばたきが減ると涙が塗り直されず、この膜が崩れやすくなります。 画面作業とドライアイが結びつけて語られるのは、この経路によるものです。
「乾く」以外の症状も、ドライアイのことがある
上のチェックに入れた項目のうち、意外に思われやすいものを補足します。
- 涙が出る — 乾く病気なのに涙が出る、というのは矛盾に見えますが、目の表面が乾いた刺激で反射的に涙が出るために起こります。「涙が多いからドライアイではない」とは言えません。
- まばたきで見え方が変わる — 涙の膜が崩れかけていると、その上を通る光が乱れて像がぼやけます。まばたきで膜が塗り直されると一瞬はっきりする、という変化が起きます。
- 目が疲れる・重い — 「疲れ目」として片づけられがちですが、診断基準は眼不快感の一つとして扱っています。
- 夕方に見えにくい — 一日の作業でまばたきが減り続けた結果として、夕方に症状が出やすくなることがあります。
症状の次は、涙の膜のもちを測ってみる
BUTそのものは自宅で測れませんが、近い考え方のセルフチェックはできます。 「まばたきを我慢して何秒目を開けていられるか」(最大開瞼時間)は、涙の膜の安定性の間接的な目安になります。 カメラで自動計測でき、映像は端末の外に出ません。
目を開けていられる時間を測る受診を考えたほうがよい目安
- 目の乾き・痛み・かすみが数か月続いている
- 市販の目薬を使っても変わらない、または使う回数が増えている
- 見え方に影響が出ている
- コンタクトレンズが以前より装用しづらくなった
- 症状が急に強くなった、強い痛みがある(この場合は早めに)
ドライアイには治療法があります。市販の目薬で紛らわせ続けるより、一度診てもらったほうが早く楽になることがあります。 受診の際は、上のチェックで当てはまった症状と、いつごろから続いているかを伝えると話が早く進みます。
出典
- ドライアイの定義と診断基準. ドライアイ研究会、2016年版.(自覚症状+BUT5秒以下で確定診断。2006年版から角結膜上皮障害が条件から外れた)
- ドライアイQOL問診票(DEQS). ドライアイ研究会.(検証済みの問診票。利用には申請が必要なため、本ページでは複製していない)
- Uchino M, et al. Prevalence of dry eye disease and its risk factors in visual display terminal users: the Osaka study. American Journal of Ophthalmology, 2013.(日本のオフィスワーカー561人。確定11.6%、疑い54.0%)
このチェックは検証済みの問診票ではなく、公開されている診断基準をもとにした情報提供です。 医学的な診断・治療を目的としたものではありません。症状が続く場合は眼科の受診を検討してください。