まばたきチェック 60秒で測ってみる

情報機器作業ガイドラインの
照度・視距離・作業時間

令和元年版の条文どおりに整理して、自分のデスクを点検する

このページの要点

  • 現行は令和元年7月12日付け基発0712第3号。平成14年の旧VDT作業ガイドライン(基発第0405001号)は、このとき廃止されている
  • 「ディスプレイ画面上の照度は500ルクス以下」は、現行にはない。旧ガイドラインの規定であり、現行の「照明及び採光」の項に画面上の照度の上限を定める規定は存在しない
  • 明るさ: 書類上・キーボード上の照度は300ルクス以上。画面・手元の明るさと周辺の明るさの差は、なるべく小さくする
  • 距離と高さ: 視距離はおおむね40cm以上。画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さが望ましい。文字高さはおおむね3mm以上が望ましい
  • 時間: 一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までに10〜15分の作業休止時間を設ける。作業時間内にも1〜2回の小休止を設ける
  • 数値になっていない条文にも、目に効くものがある。グレア防止、明暗の対照、太陽光の入射、画面と書類の視距離の差、姿勢。要約サイトから落ちがちな部分

パソコン作業のデスク環境について、日本には国が示した基準があります。 厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日付け基発0712第3号)です。 職場向けの通達ですが、書かれている数値は具体的で、自宅の机をととのえるときにもそのまま使えます。 このページは、要約サイトを孫引きせず通達の条文から直接数値を拾って整理したものです。

先に、よく見かける誤りについて

「ディスプレイ画面上の照度は500ルクス以下」という基準を紹介しているページが数多くありますが、 これは平成14年の旧VDT作業ガイドラインの規定で、その通達は令和元年に廃止されています。 現行ガイドラインの「照明及び採光」の項に、画面上の照度の上限を定める規定はありません。 詳しくは後半で説明します

どういう性質の決まりか

通達の本文は、この見直しの理由をこう説明しています。平成14年に旧ガイドラインが出て以降、 職場のIT化が進んで情報機器作業を行う人の範囲が広がり、作業形態も多様化した。 そのため「従来のように作業を類型化してその類型別に健康確保対策の方法を画一的に示すことは困難」になった、と。

そこで、健康管理を行う作業区分が見直され、「VDT」という用語も「情報機器」に置き換えられました。 あわせて平成14年4月5日付け基発第0405001号(旧VDTガイドライン)は廃止されています。 いま「VDT作業ガイドライン」として紹介されている内容は、この時点で効力を失ったものです。

対象は、事務所で行われる情報機器作業——パソコンやタブレット端末等を使ったデータの入力・検索・照合、 文章や画像の作成・編集・修正、プログラミング、監視などの作業です。

数値で決まっていること

ガイドラインの中で、はっきり数値が示されている項目をまとめます。表現は条文の言い回しに合わせています。

項目条文が示す内容
手元の照度 ディスプレイを用いる場合の書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上とし、作業しやすい照度とすること
明るさの差 ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること
視距離 おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにし、この距離で見やすいように必要に応じて適切な眼鏡による矯正を行うこと
画面の高さ ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい
文字の大きさ 文字高さがおおむね3mm以上とするのが望ましい
一連続作業時間 1時間を超えないようにする
作業休止時間 次の連続作業までの間に10分〜15分の作業休止時間を設ける
小休止 一連続作業時間内において1回〜2回程度の小休止を設ける

出典: 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて(令和元年7月12日付け基発0712第3号)本文・安全衛生情報センター

数値になっていない、しかし重要な条文

目の負担に直結するのに、数値がないために要約サイトから落ちがちな項目があります。

自分のデスクを点検する

上の条文を、そのまま自宅や職場の机に当てるとこうなります。

  1. 画面まで40cm以上あるか腕を伸ばして指先が画面に触れるくらいが、おおよそ40〜50cmです
  2. 画面の上端が、目より上に来ていないか上端が目の高さかやや下。ノートPCを直置きすると条件は満たしますが首に負担が来るので、スタンド+外付けキーボードが現実的です
  3. 手元は暗くないか基準は300ルクス以上。画面だけが明るく部屋が暗い状態は、条文が避けるよう求めている「明るさの差が大きい」状態です
  4. 画面に窓や照明が映り込んでいないか映り込み(グレア)は、ブラインドや画面の向きで消せます
  5. 1時間続けて作業していないか1時間以内で区切り、10〜15分離れる。その中でも1〜2回の小休止

「画面上500ルクス以下」は、もう条文にない

照度について検索すると、いまも多くのページが「ディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下」と書いています。 これは平成14年の旧VDT作業ガイドラインの規定です。前述のとおり、その通達は令和元年に廃止されました。

現行ガイドラインの「照明及び採光」の項にあるのは、次の3点です。

つまり、画面の明るさに上限値は設けられておらず、「周りとの差を小さく」という相対的な考え方に変わっています。 方向としては合理的です。同じ300ルクスの画面でも、真っ暗な部屋で見るのと昼間のオフィスで見るのとでは負担がまったく違うからです。

実務上の意味も変わります。旧基準のもとでは「画面を暗くする」が対策になり得ましたが、 現行の考え方では、手元が暗いときにすべきことは画面を暗くすることではなく、手元を明るくすることです。 300ルクス以上という下限は手元側にしかかかっていません。

在宅勤務にも、準じることが求められている

ガイドライン本体は事務所での作業を対象としていますが、通達はこう続けています。 事務所以外の場所で行われる情報機器作業等についても、できる限り本ガイドラインに準じて労働衛生管理を行うよう指導されたい、と。

テレワークについては、さらに具体的な記述があります。事業者が提供する作業場以外でテレワークを行う場合について、 事務所衛生基準規則、労働安全衛生規則及び情報機器ガイドラインの衛生基準と同等の作業環境となるよう、 テレワークを行う労働者に助言等を行うことが望ましいとされています。

自宅のダイニングテーブルにノートPCを直置きした環境は、視距離・画面の高さ・手元の照度のいずれも満たさないことが多い配置です。

健康診断についての定めもある

ガイドラインは作業環境だけでなく、健康管理についても定めています。 作業区分は「作業時間又は作業内容に相当程度拘束性があると考えられるもの(全ての者が健診対象)」「上記以外のもの(自覚症状を訴える者のみ健診対象)」の2つに分けられ、区分に応じて対象者が決まります。

実施時期は、配置前と、配置後の1年以内ごとに1回の定期健康診断です。項目には次のものが含まれます。

「自覚症状により目の疲労を訴える者」には追加の検査が用意されている、という点は知っておく価値があります。 黙っていれば実施されない項目です。

環境を満たしても、まばたきは止まる

このガイドラインは環境と時間を整えるものですが、目が乾く直接の引き金であるまばたきの減少そのものには触れていません。 画面を40cm離して高さを合わせても、集中して文章を読めば、まばたきはふだんの3分の1程度まで落ちます。 環境は前提条件であって、それだけでは足りない、というのが正直なところです。

環境をととのえたら、自分のまばたきを測ってみる

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出典

  1. 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて. 令和元年7月12日付け基発0712第3号、厚生労働省労働基準局長.(安全衛生情報センターによる本文掲載。このページの引用はすべてこの条文から)
  2. 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(PDF). 厚生労働省.
  3. 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインと解説(PDF). 厚生労働省.

このページは公的資料をもとにした情報提供であり、労務管理上の助言や医学的な診断・治療を目的としたものではありません。 実務上の判断は原典および産業医等の専門家の意見によってください。症状が続く場合は眼科の受診を検討してください。